本記事は雑記兼読み物、備忘録です
質問はXのdmやinfo[at]yappycycleblog.comまでよろしくお願いします。定期的に更新します。
更新履歴
2026/06/12 初稿
2026/06/28 lightcarbonについて記述
2026/07/04 相関図を追加
中華カーボンについてAliexpressや工場を調べているとき、複数の企業で同じフレームが売られていることがある。これは中華カーボンベンダー同士で共同でフレームの金型を設計・開発したり、金型の譲渡・売却、あるいはそれら工場は同一の親会社の下で製造されているケース・BtoC向けとBtoB向けで法人を分けるといった行為をしているため


本記事では、それらを中華カーボンベンダー同士の繋がりとしてまとめる。また、国内外の情報から得た中華カーボンベンダーの評判や大手との関係についてもサラッと書いていくほか、筆者の考察も含む。同じジオメトリのフレームでも企業によって品質が違うということもあるため、中華カーボンフレームを発注するときの参考や、わかりづらかった中華カーボンベンダーを紐解くキッカケになれば幸いである。なお、本稿ではロードフレーム・グラベルフレームのみに触れる。
なお、本記事は新たな情報を発見次第適時更新する。
相関図について
自分で見て思ったのが本記事は文字での解説はベンダー同士のつながりがいまいちわかりづらい
ので、現時点で自分が知っている情報をある程度盛り込んだ相関図を作りました(2026/07/04)
いまはSVGで出していますけど操作性が悪すぎるのでどうにかしてウェブサイト上でスクロール可能な形式で作れればなと思います(時期未定)閲覧はpcを推奨です・
なお、間違いもあると思いますし書いていない情報もあります。解説欄にないベンダーについても相関図上にはあります。そこら辺に関してはゆるゆる書いていけたらなと思います。
見方
青丸・・・カーボンベンダー。実際の「製作」を担う。特に表記がなければ中国国内
赤丸・・・ブランド。基本的に国外で、かっこがきで国籍を書いている。ないものもある
大枠・・・企業としての繋がりが見られるもの。またベンダー自体のブランドをその中に置いている
矢印・・・そのまま。注釈がないものもある
Velobuild
Velobuildは深圳市维诺复合材料有限公司が運営するBtoC,BtoB向けにプロダクトを展開する中華カーボンベンダー。担当者の名前はChris(chris(at)velobuild.com,support(at)velobuild.com)
数々のフレームを展開していて、そのうちVB-R-099Dは後述するLongTengのLTK-268、WorksWellのWCB-268、FlyXiiのFR-968,TanTanのTT-X21は同一のフレーム。いわゆる共同開発か、金型の共有がされている例といえる。
他にもVB-R-268はS1neo 699D 2022とジオメトリが一致する。また、S1Neo FP03 トラックフレームも、VB-TK-024とジオメトリが一致する。
最新のフレームのVB-R-366はENTITY Bikeの “Bullet”として採用されている。
LongTeng (Mondince,Haidelibikes,TideAce)
LongTeng(LTbikes)は、惠州龙腾运动器材有限公司が運営するBtoC,BtoB向けにプロダクトを展開する中華カーボンベンダーで、傘下にMondince(BtoB,BtoC向け)、Haidelibikes(BtoB,BtoC向け)、TideAce(BtoC向け自社ブランド)を持つ。担当者の名前はAlisa(longtengalisa(at)163.com)
LTbikesが持つ各ブランド・ベンダー同士の違いは相手企業の規模だろう。
恐らく、大手は最も自由度が高いLTbikesに、中小ブランドはオープンモールドフレームを売るMondinceと取引する、といった形であると考えられる。
LongTengはTanTan(Seraph)のような「オープンモールドフレームばかりを販売する業者」と違って自社でのプライベートモールド開発なども行う。従って、BtoB向けフレーム供給業者としての性格もみられる。実際Cube、Argon18、State Bicycleといった有名ブランドのプロダクトの製造をしているという情報アリ。
また、LTK-268のように他のカーボンベンダーと共同開発かもしくは金型の共有を行う。具体的には先述のVelobuild、Flyxii、WorksWellなど。また、今年発売される予定のMondinceLTK266D-SLのような超軽量フレームを販売する中華カーボンベンダーは珍しい。
AdaptCycle(SpeederCycling?,Tavelo)
AdaptCycleは厦門に拠点を置くカーボンベンダー。法人名は厦门适动体育用品有限公司。
AdaptCycle自体はBtoB向けのみに対応するベンダーであり、BtoC向け販売は一切行っていない。担当者の名前はAllyn。(ALLYN(at)ADAPT-BIKE.COM)
プライベートモールドを作り、それを大手向けに所有権を販売する商売や、大手と共同でフレームを設計するといった商売を行っていると考えられる。また、自社でもTavelo,Pertualといったブランドを運営する。他の企業との繋がりとしてはMMR、S1neo、KhodaaBloom、Winspace、Atom6,SpeederCyclingなどが挙げられる。AdaptとしてMMR Adrenaline AERO,S1neo 699D 2024,Atom6 AERON向けにFM49DB(TDC-RD49か?)を供給するほか、Parapera ATMOS²にAT-B52を提供する。
TaveloとしてはAdapt AT-B01をTavelo Attackとして、またTavelo Arowを生産する。AdaptとTaveloは同一住所内に存在するので、同じ企業である。
Adaptは展示会で謎ムーブをすることが知られている。具体的にはAdaptとTaveloは同一企業であるにも関わらず、展示会参加時にはそれぞれでブースを取って出展し、両者の関係性を出そうとしない。
一緒のブースで出店した方が連携とりやすくていいと思うんですけどね
SpeederCycling
SpeederCyclingはAdaptCycleで取り扱うフレームをBtoCで買うことができ、同一企業または深い関連を持つ企業であると言われている。法人名はFOCUS CARBON TECHNOLOGIES LIMITED.
中華カーボンクラスタでの現在の主流な意見では同一企業でないか?ということだが、確信は得られていない。が、扱うフレームからしてAdaptと関連性があると考えられる。担当者の名前はjustin(justin(at)speedercycling.com)で、Linkedinではオーナーである。評判としては近年のものは非常に良いとあった。
SpeederCyclingはWinspace SLC2.0、KhodaaBloom strauss PRO RACE2にSC-R48Dの供給を行う。
FiberTekと強いつながりを持つ可能性?(詳細はFibertekの欄を参照)
Fibertek(Tour de Cycling)
Fibertekははっきり言って謎の会社。ドメインにも入れないし調べてもほとんど情報がない。このカタログやTraceVeloの動画から推測するに、以前から大手の製造などを請け負っていた老舗の工場である。法人名は厦门富堡复合材料有限公司。これまで確認できた情報では2025年のEurobikeに出展していることと、以下のフレームを出品していたこと、渉外担当者の名前がYanttyで、fbcomp.comというドメインを持っていること。

このフレームは先ほどのAdaptCycle FM55と形状がほとんど同じ。
で、更に調査をしていたら以下のことが分かった。
①上記のTi+CarbonのフレームはParapera ATMOS²Tiとして採用されている。TiのないカーボンのAtmos2はAdapt AT-B52である。
②過去12か月以内にアメリカ経由でFibertekからBike Norte Bicycle Manufacturing S/Aという会社に製品が輸出されている。

③Bike Norte Bicycle Manufacturing S/AはAuduxbikeというブランドを保有しており、そこでAdaptのFM08-DBがventus-stelvioとして採用されている。→TDC-RD08のほうが可能性が高い?


④AdaptCycleの去年のブースでParapera ATMOS²Tiとして採用されたフレームを展示していた(画像左上)

これらから予想するにFiberTekはAdaptCycleと何らかの関係を持ち、それもかなり深い可能性がある。AdaptがSpeederやFibertekとグループ企業である可能性も否めない。特にFibertekはtoC向け業務をしない点でAdaptと重なるうえ、両者の所在地は車で10分程度しか離れていないところにある。
今後も調査を進めていけたらと思う。
(2026/06/27)
調査の結果、FibertekはTour de Cycling 以下 TDCと同一であると考えられる。
こちらはTDCの公式サイトにある “自社工場”のテスト・研究ラボ。

そして以下が、2026年6月に公開されたTraceVelo氏によるFibertek工場見学動画の一部。

TDCのウェブページに掲載された画像(上部画像)の三枚目の画像と、動画から切り取った画像の中の試験機械の配置・柱の配置が一致している。
またTDCは英語版ウェブページを除いて、自社工場の外観を掲載している。それがこちら

で、以下の画像はFibertekの2010年頃のカタログ。自社工場として掲載されているのが同一の建物。

以上のことから、FiberTek=TDCと考えて良いと思う。
問題は扱うフレーム。例にもれず、TDCはAdaptCycle,SpeederCyclingと扱うフレームが似通う。

これはTDC-RD49。TDCのフレームはすべてTDCから始まるし、AdaptではFM49-DBとして売られているものが、SpeederCyclingではSC-R49Dとして売られている。
なぜAdapt “だけ” フレームの命名規則が複数種類あるのだろうか?AdaptだけFM-○○やDP-○○、AT-○○といった命名規則が混在する。
以下、個人的考察
Adaptの命名規則 “FM” “AT” は “自社”向けに作成されたものではないフレームを指す。
そのうち命名規則 “FM”のフレームはすべてTDC(=Fibertek),一部はSpeederCyclingにもある金型である。TDC-RD55、SC-R55など(Adaptの”FM “は “FiberTek Mold”の略?)
“AT”
根拠①
Flybike-Asia(Carbonda,QuickPro,AssistingForce)
Flybike-Asiaは広東省惠州市を拠点とするカーボンバイクベンダー。法人名は惠州市美源吉体育用品有限公司。傘下にCarbonda(BtoC向けベンダー)QuickPro(D2Cブランド)AssistingForce(D2Cブランド)を持つ。ここもかなりの老舗で、グラベルバイクに強みを持つ印象。具体的には
Bombtrack – Hook
Ridley – Kanzo Adventure
Vitus – Substance
KHS – Grit
Derosa – Gravel Carbon
などにFM696が採用されていた。
他にもロードフレームだとFM666DとしてS1neo 699(某大物Youtuberが乗っていたやつですね)のディスクブレーキバージョンが販売されている。
Carbondaはその傘下で、Flybike-AsiaがBtoBのみを展開しているとされているのに対して、BtoCも展開するのがCarbondaである。但し、海外掲示板ではFlybike-Asiaから購入できたというユーザーがいるため、実際の繋がりはかなりあいまいかも。フレームの金型に独占権がついてなければ売ってくれるかもしれない。なので同稿に。
QuickはD2Cブランド。アメリカを筆頭に展開してるけど最近は富士ヒルクライムにQuickProでブース出したりして日本でも有名になってきたかな?
そんなQuickはFlybike-Asia傘下。フレームに関しても自社製のものが採用されている。
例えばQuick HAREとかはFlybike FM1186だったりする。まあ同一企業なので同稿に。
Yishunbikes
Yishunbikesは厦門を拠点とするOEM/ODMカーボンベンダー。法人名は厦门亿顺恒复材科技有限公司。かつては後述するLightcarbonと同一の敷地内に本社を持ち、同じ会社と言ってもおかしくないほどの深い関係にあった。ドイツに倉庫兼支社を持つ。(Yishunbike GmbH)
現在でこそフレームも製造するが、かつてはホイールセット専門だったらしい。
他にもAsiancycleExpressというサイトも運営していた。(今は見れません)


背景、人物が一致していることがわかる
現在ではカーボンフレームも製造する。評判はなかなか悪くなさそう。噂ではYoeleo向けに作ってたりするという話とRibble ULTRA SLRはここらしい。あとはtifosiのaurigaはYishunbike R068-Dかな。
ODM/OEM向けだけど個人でも在庫に余裕があれば買えるっぽい?
あとここで取り扱ってたフレームのほとんどが今年に入ってからTopcarbon Technologyに移動してます
LightCarbon
高品質中華カーボンベンダー、”アドバンスド中華”
2020年頃までYishunbikeと同じ敷地にあり、BtoB向け窓口をYishunが、BtoCや小規模向け窓口をLightCarbonが担当しており実質的に同じ会社であった。現在はそれぞれ独立している。なお現在でも所在地は非常に近い。
傘下にProXというホイール専門のベンダーを擁し、互いに製品を供給する。ELILEEとも関係があるのか公式サイトでELILEEのカーボンクランクが売られていたりする
様々なフレームを提供するがLCR017D,018DやLCG072D他のベンダーと異なる意匠のものが散見される
同じ敷地内、つまり工場として同一だった時はYishunbikeと同様にDE ROSAやCinelli、Ribbleなどのフレームを製造していた。独立後は不明、Cinelli、SEKAはlightcarbonで製造しているとされる。
まだまだ書きたいことがあるけどとりあえず今日はこんなところで。
まだ数日後に更新します。

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